ホテルのシチュエーションがあるワケ。
だが、温泉地というのはそんなに観光するところがない。 せいぜいが近くを散歩するぐらいだ。

どうしたって部屋の中に入りっぱなしということになる。 浴衣が色っぽいとか、うなじの後れ毛がいい、なんてカレが誉めてくれてちょっといい気分になるかも。
が、長く続かない。 だってね、朝から晩までずうっと一緒なので、まるっきり気が抜けないのだ。
普通の旅行なら、お化粧して外に出ていくという心の張りもある。 が、日に何度もお風呂から出たり入ったりするんだったら、そんなもんうっとうしいだけ。
寝ころんでテレビでも見たホテルのバスルームなら、中から鍵をかけ、ゆっくりバスにつかっているふりをして長居をするテもある。 が、温泉の場合そうもいかない。
うんと高級なところなら部屋に専用のお風呂がついているが、たいていの場合はトイレだけ、お風呂は大浴場になるものね。 やっぱり温泉というのは、女と行くに限る。
私は、つい最近親しい女性4人で温泉に出かけたのであるが、食っちゃ寝食っちゃ寝の末、夜はすさまじい男餓悔という世界に突入したのである。 が、日頃は忙しくてストレスのたまっている私たちだ。
このくらいの楽しみがなくてなにざとばかり、一晩中騒ぎまくった。 その温泉旅館は離れ形式だったので、明け方まで賑やかに出来たのである。

おかげで、帰る時はみんなすっきりとした顔になっていた。 そう、温泉はリラクゼーションの場なのである。
エステに行くのに男を連れていく人はいないであろう。 それと同じこと。
さて、もう10年以上前のことになるが、私はTと一緒に温泉旅行に出かけたことがある。 が、もちろんのこと女友だちもいて3人の旅行だ。
場所はやはり湯布院温泉で離れの一室に私と女友だちが泊まり、ちょっと小さい一室にTが泊まった。 いナと思うけど、彼の目も気になる。
それより何よりトイレが困る。 彼と旅行する時、女がいちばん悩むのがこのトイレ問題ですね。
もちろん大の話。 最近はすぐににおいを消す携帯式のスプレーもあるけれど、ああいう小細工はすぐに見抜かれるようだ。
私の女友だちは、田舎の女のコなのでTのことをよく知らなかった。 もしかすると私の恋人で、私がカモフラージュのために彼女を誘ったと疑ったらしい。